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後で問題にならないよう、しっかりと譲渡につき検討しましょう。
原則として、受益権を譲渡することは可能です。ただし、信託行為に譲渡を禁止する旨の定めがある場合には譲渡はできません。ですから、受益権の譲渡を考える場合には、まず信託行為の内容を確認することが必要です。
※「信託行為」については下記リンク先をご覧ください。
Q.「信託行為」って何のこと?
また、受益権が一身専属的な権利である場合など、性質上、譲渡が許されないものである場合にも譲渡はできませんから、注意が必要です。
次に、原則どおり受益権の譲渡が可能である場合であっても、注意すべき点があります。信託に関しては、委託者が信託事務の報告請求権や受託者の解任などいくつかの権利を有しています。他方、受託者は当然ながら実際に信託財産を管理しており、当該信託への関わりは非常に大きなものとなります。そこで、受益者がこれら信託に深く関わる者とは全く関わりのない第三者を新受益者として受益権を譲渡した場合、譲渡後の信託の運営に関して不都合が生じることが考えられます。そもそも民事信託においては、基本的に家族や親族など特定の関係にある者の間での信頼関係をベースとしているケースが多いため、当初の予定にない新受益者の登場により信託の運営がスムーズにいかなくなってしまうことはあり得ます。
例えば、信託の変更や終了をしたいと考えたときに、委託者や受託者の合意が必要となる場合があります。しかし、委託者や受託者の関与なく、見知らぬ新受益者に対して受益権を譲渡した場合には、当初の信託成立時と状況が大きく異なるため、当事者間での意思疎通が充分にできず、必要な合意が得られないことも考えられます。
このような事態を避けるための方法としては、受益権の譲渡を行う際に、委託者及び受託者に関してその地位の移転(変更)も併せて行うことが考えられます。そうすれば、新受益者としても、その後の信託の運営に関して安心できるのではないでしょうか。
更にもう一点、信託受益権の譲渡に関する対抗関係について、信託受益権の譲渡については、譲渡人(旧受益者)が受託者に確定日付のある証書によってその旨を通知しなければ、第三者に対抗することができません。また、信託行為において譲渡禁止の定めがある場合であっても、これを譲り受けた善意の第三者に対抗することができません。
このように、信託受益権の譲渡に関しては、新旧の受益者のみならず、信託の関係当事者にも大きく影響が及ぶところですから、実際に譲渡をお考えの際には、事前に民事信託に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
ここでは民事信託・家族信託に関してのよくあるご質問にお答えします。
Q.「信託行為」って何のこと?
Q.民事信託(家族信託)には最長期間の決まりはありますか?
Q.受託者になったら報酬をもらえるの?
Q.受託者になったらどのように信託財産を管理すればいいの?
Q.受託者になるには何か資格が必要ですか?
Q.受託者は全ての信託事務を自分で行わなければならないの?
Q.信託管理人って何をするの?誰でもなれるの?
Q.信託監督人って何をするの?誰でもなれるの?
Q.受益者代理人って何をするの?誰でもなれるの?
Q.同意者や指図権者って何をする人なんですか?
Q.受託者が死亡したときは、民事信託(家族信託)はどうなっちゃうの?
Q.受託者を解任したいときはどうすればいいの?
Q.受託者が亡くなって、受託者が変わったときには相続税の対象になるの?
Q.民事信託(家族信託)をすると、相続税を節税できますか?
Q.民事信託(家族信託)は名義預金や名義株問題の対策にもなるの?
Q.受託者を法人とするメリットって何ですか?
Q.債務を信託することはできますか?
Q.上場株式を民事信託(家族信託)の信託財産とすることはできる?
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