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Q.遺産の一部だけを遺産分割することってできますか?

A.できます。ただし、後から問題が生じないように注意すべき点がいくつかあります。

円満な遺産分割協議をするためにも、気をつけたいですね。

取り急ぎ支払うべき債務があるとか、納税資金が手元にないというようなケースでは、できるだけ早く遺産の一部を支払原資としたい場合もあります。遺産の全てを、必ずしも1度の遺産分割で分割しなければならない訳ではありませんから、一部のみの分割(=一部分割)をすることは可能であり、実務上も行われています。ただし、一部とはいえ遺産分割協議をするのですから、相続人全員が合意することが必要です。また、全ての遺産を分割したつもりでいたけれど、後から別の遺産が発見されることがありますが、この場合には結果的に一部分割をした形になります。

ところで、一部分割を採用する場合には、「その後の残余財産を分割するにあたって先行の遺産分割協議の結果をどう反映させるのか」という点までを見越して事前に検討しておくべきです。言いかえると、先行する一部分割の結果が、残余財産の分割割合に影響を及ぼすものとするか、及ぼさないものとするかを明確にしておくべきだということです。とは言っても…何だか少しわかりにくいですよね?以下に、具体例を挙げてご案内します。

例えば、父親が既に他界している状況で、この度、母親の相続が開始したとします。相続人が長男A及び次男Bの2人のみだとします。従って法定相続分はA及びBともに1/2です。また、遺産の総額は8,000万円です。さて、このような状況でAはBに一部分割を持ちかけたとします。

A「実家である土地建物(時価3,000万円)は長男である自分が住むことにするから、早急に自分名義への相続登記まで済ませたい。残りの遺産については落ち着いてからじっくり話し合おう。」
B「そうか、わかった。じゃあ手続には協力するよ。」

というやり取りがあった後、遺産分割協議書を作成し、実家の相続登記も済ませてしばらくしてから、Aが残余財産についての分割について切り出します。

A「そろそろ落ち着いたし、残余の遺産も分割しないとな。残りは5,000万円分の財産だから法定相続分どおり半分ずつでいいよな?それぞれ2,500万円ずつだ。」
B「何だって!?兄さんは実家を相続した分があるじゃないか!法定相続分どおりって言うなら4,000万円ずつにならないとおかしい。前回、兄さんは3,000万円分の実家を受取っているんだから今回受取るのは1,000万円だろ。俺は前回0円だったんだから、今回は4,000万円相続したことになるじゃないか。」
A「何言ってんだ!実家は俺がもらうって先日の遺産分割協議で決めただろう。今度の遺産分割協議と先日のとは関係ないだろう。」

…とまぁこんな具合で見事にこじれてしまいました。あなたなら、どちらの言い分が納得できますか?実は、こうなってしまったのも、先行する一部分割をした際に、「その後の残余財産を分割するにあたって先行の遺産分割協議の結果をどう反映させるのか」を検討しなかったからなのです。この事例でAが主張している言い分は、前述の①先行する一部分割の結果が、残余財産の分割割合に影響を及ぼさないという考え方に則ったものであり、Bが主張している言い分は、②先行する一部分割の結果が、残余財産の分割割合に影響を及ぼすという考え方に則ったものなのです。

次に、残余財産の分割の場面に視点を移すと、①及び②の考え方の違いにより次のような違いが生じます。
①によれば、残余財産を法定相続分で分けることになる。
②によれば、一部分割済の遺産を含む全ての遺産を法定相続分に従って分けた場合と同等の取得額になるように残余財産で過不足を修正する
①または②いずれによるかで、それぞれの取得額は大きく異なりますよね。一部分割を用いる場合には、どちらの趣旨で一部分割をするのかを明確にしておくべきであることがお解りいただけると思います。

ちなみにこの点については、「一部分割の内容に関して、自己の法定相続分に不足する部分については各当事者が持分放棄あるいは譲渡の意思で一部分割を行うときは、残余財産につき①の方法によることを承認したものとみるとし、そのような特段の意思表示がなされていないときは残余財産につき②の方法によることを承認したものと推認すべき。」との趣旨の家庭裁判所の審判例があります。

一部分割を採用した場合には、①または②のどちらの趣旨でなしたのかを明確にするために、遺産分割協議書にはその旨の条項を盛り込んでおくべきです。以下にその記載例を示します。
①の趣旨で一部分割をする場合の条項記載例
「今回の一部分割が残余の遺産の分割に影響を及ぼさず、残余の遺産の分割については今回の一部分割とは別個独立に分割することを確認する。」
②の趣旨で一部分割をする場合の条項記載例
「残余の相続財産については、今回の一部分割の結果を加味して、後日、法定相続分に応じて分割協議する。」

最後にもう一点、これは心理的な問題ですが、遺産の中に承継者を決めるにあたり、争いの種となりそうな財産がある場合、一部分割により当面の支払原資の問題が解決したこと等に安心して、その財産を含む残余財産の遺産分割協議を進める契機を失ってしまうという問題もあります。ですから、一部分割を採用する場合であっても、基本的にはできるだけ早い内に残余財産の遺産分割協議を行った方が良いでしょう。

相続関連業務Q&A

ここでは、相続関連業務に関してのよくあるご質問にお答えしております。

Q.遺産承継業務を依頼したいんだけど、相続人の内に遠方に住んでいたり、しばらく連絡していない人がいても相談できますか?
Q.私には相続人が1人もいないのですが、この場合の相続ってどうなるの?私の財産の行先は?
Q.遺産の価値については、いつを基準に計算すればいいの?実家を相続する代わりに他の相続人に金銭を支払うつもりですが、いくら支払うのが妥当なのかわかりません。
Q.遺言書は「検認」という手続が必要って聞いたんだけど?
Q.遺言書が2通あるんだけど、どっちが有効なんだろう?​
Q.相続人の内に行方不明者がいるんだけど、遺産分割協議はどう進めればいいのだろう?
Q.相続人の内に認知症患者がいるんだけど、遺産分割協議はどう進めればいいのだろう?
Q.相続人の内に未成年者がいるんだけど、遺産分割協議はどう進めればいいのだろう?
Q.お墓の墓守をする人も遺産分割で定めることになるのかな?
Q.遺言の内容と異なる遺産分割をしたいんだけど?
Q.父が亡くなり遺産分割が終わった後に、自ら父の子であることを名乗る人物が現れました。父が生前に認知した子とのことです。これからどうしたら良いのでしょう?
Q.相続の熟慮期間って何のこと?いつからいつまでなの?
Q.相続財産の内から葬儀費用を支出した後に相続放棄をすることはできるの?
Q.父が亡くなってから1年以上経過した後に、父の債権者から連絡があり、借金があることがわかったんだけど、この場合、もう相続放棄はできないの?
Q.父が交通事故で亡くなり、勤務先の会社から死亡退職金が支給されましたが、これは相続財産になるの?また、交通事故の加害者から受取る損害賠償金についてはどうなんだろう?
Q.遺留分減殺請求権の行使ってどうすればいいの?
Q.私の兄は8年前に行方不明となったままで、現在、生死も不明です。最近になって父の体調が悪くなり、将来の相続のことも考えなければいけない状況となってきました。父の生前に何かしておいた方がいいのかな?

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新着情報

2017年6月25日

ブログを更新しました。

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2017年5月10日

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