系譜（家系図、過去帳等）、祭具（位牌、仏壇、神棚等）及び墳墓（墓石、墓地、墓地使用権等）は「祭祀財産」とし、相続財産とは区別され、祭祀を主催する者が承継します。

そして、祭祀承継者は次のように決まります。

①被相続人の指定がある場合には、指定された者。なお、この指定は遺言による必要はなく、生前に口頭でもすることができます。
②被相続人の指定がない場合は、慣習に従って承継者が決まります。
③被相続人の指定がなく、慣習も明らかでない場合には、家庭裁判所の調停または審判で決められます。また、被相続人の指定がない場合に、相続人間の合意で定めることも可能です。

祭祀財産の承継については、相続の承認や放棄の規定はないことから、承継の放棄や辞退はできません。

しかし、祭祀承継者だからと言っても実際に祭祀を行う義務を負うわけではありませんし、他方、祭祀承継者だからと言って遺産分割にあたり有利になるという法律上の特典もありません。

上記の性質から相続人が複数あるときは、円満に話し合って決めるのが被相続人を含むご先祖様のためにもなると言えるのではないでしょうか。