始業開始時刻前に清掃や朝礼が恒例となっている企業は多いと思われますが、この時間が労働時間にあたるか否か、という点については、「使用者の指揮命令下にあるか否か」が基準になります。

指揮命令下にあるか否かについては、口頭で命令される場合のみでなく、そうせざるを得ないような状況、雰囲気を使用者が作っている場合にも「黙示の指示」がなされたものと判断されることとなります。

例えば、職場のほぼ全員が掃除に参加しており、自分だけ参加しないと社内での評価が下がる、あるいは下がるのではないかと思わせるような状況で、仕方なく参加しているというような場合には、黙示の指示があったと判断される可能性は高いでしょう。

これに対して、自主的に従業員の側でボランティアとして掃除をしている場合には、労働時間にはあたらず、賃金も支給されないこととなります。